リセールの良いクルマとひと言でいっても、いろいろな種類があります。需要が供給数を上まわるというのは大前提にあるのですが、世の中には予想もできないような買取値がつくクルマも存在するのです。そんな世界をちょっとでも見てみたいと思うのが、クルマ好きのサガ。実際にどのくらいの残価率で取引されているかは気になる人も多いのではないでしょうか。
今回紹介する5台も、過去セルカで実際に買取が行われた高額車両。メルセデスのなかでも特に人気が高く、高値で取引されるメルセデスAMGのクルマにスポットを当てました。このクルマたちがなぜ高価買取されたのか、実際に買取されるリアルをご覧ください。
これから紹介するデータは、愛車買取オークションセルカでの出品データからメルセデスAMG車に対象を絞り、特に高額売却された実績について調査したものです。
調査機関:自社調査
調査日:2019年07月05日~2024年01月17日
調査対象:弊社で取引されたお車のデータ81件(メルセデスAMG車に絞って)
調査方法:自社保有データ分析 高額で落札されたもの、かつ新車価格と比較して残価率の高いものを上から5つ抽出(車種が同じもの、乗用車でないものは除く)
■GLB
最初に紹介するのは大人気7シーターSUV、GLBです。
こちらの個体は
グレード:GLB 35 4マチック
年式:2022年
走行距離:1,965km
というデータです。
GLB 35 4マチックの新車価格は810.0万円(オプション等除く)からでした。セルカで実際に落札された価格は、なんと675.3万円。残価率は1年落ちで83%です。
手頃なサイズの3列SUVとして人気を博しているGLBのハイパフォーマンスバージョン。306ps/400Nmを発揮する2.0L直4ターボに8速DCTを組み合わせ、快適なGLBの乗り心地を損なわず優れたスポーツ性能をプラスしたモデルです。
この個体が高価買取を実現できたのは、やはり走行距離でしょう。もはや新古車レベルの距離の少なさは、走行距離が伸びやすいGLBでは特に引く手数多なはずです。年式も新しく車検ももちろん残っています。装備関係では、定番オプションのアドバンスドパッケージ(黒/赤ツートン革シート)や、ADAS(先進運転支援システム)も査定にプラスとなっているでしょう。
(成約時期:2023年03月)
■GLC
次に紹介するのはCクラスベースのミドルサイズクーペSUV、GLCクーペです。
こちらの個体は
グレード:GLC 43 4マチック クーペ
年式:2019年
走行距離:16,698km
というデータです。
GLC 43 4マチック クーペの当時の新車価格は933.0万円(オプション等除く)からでした。セルカで実際に落札された価格は、なんと690.6万円。残価率は3年落ちで74%です。
人気のクーペSUVのハイパフォーマンスバージョンであるAMG版は、367ps/520Nmを発生する3.0LのV6ツインターボを搭載。爽快な走りを披露してくれます。こちらの個体は走行距離1万km台の低走行車ということもあり、高額買取が実現しています。加えて白のボディカラー、パッケージオプションである赤/黒ツートン革シートなども人気の要素ですので、これらもプラス評価につながっているでしょう。
GLCはすでに2代目へモデルチェンジしていますが、クーペに関しては本国ではデビューしている新型がいまだに導入されていません。中古車市場でも、GLCよりGLCクーペのほうが個体数は少なく、需要が多い割には供給数が少ないという状態。もちろん新車の販売は終了しています。そういった要因も重なり、GLCクーペはあまり値崩れしにくいクルマでもあります。
(成約時期:2022年3月)
■GLE
次に紹介するのはアッパーミドルSUV、GLEです。
こちらの個体は
グレード:GLE 53 4マチック+
年式:2021年
走行距離:19,448km
というデータです。
GLE 53 4マチック+の当時の新車価格は1347.0万円(オプション等除く)からでした。セルカで実際に落札された価格は、なんと917.3万円。残価率は3年落ちで68%です。
かつてはMクラスと呼ばれていたSUVがルーツとなるラグジュアリーSUV。7人乗りの3列シートを標準装備とし日本では大型な部類に入るGLEですが、AMG仕様の45には3.0Lの直6ツインチャージーエンジン+マイルドハイブリッドのパワートレインが与えられ、2.5トンの車重を感じさせないほどのスポーティな性能を持ち合わせます。
3年経っても残価率50%を余裕で超える高いリセールの理由は、やはり低走行車という点が筆頭にくるでしょう。2万km未満の走行距離は、長距離を多く走ることが想定される大型SUVにとってはこの上ないストロングポイントとなります。装備オプションが魅力的な点も見逃せません。AMGインテリアカーボンパッケージ、サンルーフ、高級サウンドシステム、ADAS、上級車種GLE 63用の22インチホイールなど、人気装備が満載な点もプラスに働いているでしょう。
(成約時期:2024年1月)
■Gクラス
次に紹介するのはキング・オブ・SUV、Gクラスです。
こちらの個体は
グレード:G 63
年式:2019年
走行距離:22,875km
というデータです。
G 63の当時の新車での価格は2076.0万円(オプション等除く)からでした。セルカで実際に落札された価格は、なんと1920.0万円。残価率は4年落ちで92%です。
メルセデスSUVシリーズのなかでも異色のヒストリーを持つ、本格クロカンSUVのGクラス。その最強バージョンが、4.0LのV8ツインターボを搭載するG 63です。AMGの技術が惜しみなく投入され、585ps/850Nmを発揮。見た目からはとても想像できない優れた走行性能を披露します。
2018年にビッグマイナーチェンジを実施したGクラスですが、発売当時から納車まで1年以上もの長い行列ができるほどの大人気ぶりでした。あまりにも注文が殺到しすぎたため、早々にオーダーストップがかかってしまったほどで、当然購入できない人も多く、中古車市場は異常な高値をキープしてきました。この個体も確かに3万kmの低走行車ではありますが、もはや距離など関係ないくらいの超高値のリセールとなっています。Gクラスのなかでも、このG 63は一番の人気車。この先もしばらく値崩れすることはないでしょう。
(成約時期:2023年9月)
■GT
最後に紹介するのは世界中のサーキットで活躍するスポーツカー、GTです。
こちらの個体は
グレード:GT R
年式:2019年
走行距離:6,821km
というデータです。
GT Rの当時の新車価格は2328.0万円(オプション等除く)からでした。セルカで実際に落札された価格は、なんと1875.0万円。残価率は3年落ちで81%です。
メルセデスAMGが開発したスポーツカーの第2弾として2015年に登場した、ピュアスポーツカー。ロングノーズ・ショートデッキのトラディショナルなフォルムのボディに、専用開発された4.0L V8ツインターボを搭載。19年の改良で4つのグレードが登場し、この個体のRはその最上級モデル。大型リアウイングなどサーキット走行を前提とした装備が奢られた、もっともスパルタンなモデルでした。
この個体は走行距離の少なさと、パールホワイトのボディカラー、そしてワンオーナー車などが高額買取の理由として挙げられます。GTのなかでもスポーツ性能が高いRは人気ですが、個体数が少なく市場では引くて数多の状態。高い残価率は、新型が登場した今年以降もしばらく続くかもしれません。
(成約時期:2022年4月)
<文=青山朋弘 写真=メルセデス・ベンツ/セルカ>